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障害年金とはどのような制度か

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厚生年金や国民年金などの公的年金には老後の所得を保障する老齢年金の他に、ケガや病気などで働くことが困難になった人のための保障として障害年金という制度があります。ここでは、公的年金における障害年金とは一体どのような制度なのか、そしてその給付を受けるにはどのような手続きが必要かといった点について紹介しています。

ケガや病気で働けなくなった場合の所得を保障

厚生年金や国民年金といった公的年金といえば、多くの人が思い浮かべるのは老齢年金すなわち高齢になって働くことが困難になった場合の生活費を保障する年金給付です。ただ、私たちが働けなくなるのは何も年を取った場合だけに限りません。

たとえばケガや病気などが原因で手足を自由に動かすことができなくなったり、視力や聴力が低下したりした場合にも、やはり仕事に就くのは困難になります。そこで、公的年金においては、心身の障害によって自らの力で収入を得ることが困難になった人に対しても、一定の所得を保障する制度を設けています。

これが障害年金です。老齢年金と障害年金が大きく異なる点は、前者が一定の年齢に達した場合に支給されるのに対し、後者は障害の程度が一定の水準に達した場合に支給されるということです。したがって、障害年金は支給要件を満たせば年齢に関係なく(国民年金の場合は後述するように20歳から)支給されます。

厚生年金の障害年金について

公的年金は加入者の職業等によっていくつかの制度に分かれていますが、ここでは対象者の多い厚生年金と国民年金に絞って説明を進めていきます。なお、内容はすべて2018年9月現在の法令等に基づいています。厚生年金における障害年金のことを、障害厚生年金といいます。

障害厚生年金は、次のような条件に該当した場合に支給されます。1つ目は、厚生年金に加入している間に生じたケガや病気によって障害の状態になっていることです。具体的には、そのケガや病気について初めて医師または歯科医師の診療を受けた日(これを「初診日」といいます。

)が厚生年金の加入期間中である必要があります。2つ目は、一定の障害の程度にあることです。この程度については法令によって定められており、手足や感覚器官などの身体障害、心臓や肺などの内臓疾患、発達障害や統合失調症などの精神疾患といった具合に、それぞれの傷病や障害ごとに具体的な基準が定められています。

3つ目は、初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの1年間に公的年金の保険料の未納がないこと、または全加入期間の1/3以上の未納がないことです。といっても厚生年金の場合は保険料が給与から源泉徴収されるため、原則として保険料の未納はありません。

そのため、この要件は加入(就職)1年未満の者が満たすべき要件ということになります。「参考情報 … 障害年金申請 … 白石社会保険労務士事務所

いつからもらえるのか

障害厚生年金の支給要件は前段に述べた通りですが、注意が必要なのは、この要件を満たしたからといってただちに年金が支給されるわけではないということです。ケガや病気が発生した直後は、経過次第でその程度が重くなるのか軽くなるのかまだ分かりません。

そこで、障害の程度にかかる判断は、一定期間を経過した時点で行われることになっています。これを障害認定日といいます。障害認定日は、原則として初診日から1年6か月を経過した日です。ただし1年6か月経過する前に症状が固定したと認められる場合はその日となります。

症状が固定したと認められるかどうかについては法令によって具体的な基準が定められています。例を挙げると、肢体を切断した場合はその日、心臓ペースメーカーを装着した日はその日、人工透析を行っている場合は初めて透析を受けた日から3か月を経過した日、などとなっています。

また、障害厚生年金には事後重症という制度があります。これは、障害認定日においては障害の程度が支給を受けられるほど重くなくても、後に症状が悪化すれば支給が受けられるというものです。

年金額はいくらになるのか

では、一定の障害の状態になった場合に障害厚生年金はいくらもらえるのか、というと、これは障害の程度と対象者の報酬の額、加入期間等によって異なります。まず障害の程度ですが、国が定めている基準には1級から3級までの等級があり、1級が最も重くなっています。

たとえば眼の障害であれば1級は両眼の視力の和が0.04以下、2級なら0.05~0.08、3級なら両眼の視力が0.1以下、といった具合です。

次に報酬の額と加入期間ですが、これは老齢年金の場合と同様、加入期間中の平均標準報酬の額が高いほど、そして加入期間中が長いほど支給額は高くなる仕組みです。ただし加入直後のケガや病気の場合は単純に計算すると支給額が著しく低額になってしまうことから、加入期間が25年未満の場合は25年とみなして計算します。

報酬と加入期間に基づいて計算された支給額は、障害の程度が3級の場合はそのまま支給されます。ただし最低保証額が決められており、それを下回らないような措置が取られています。2級の場合は基本的には3級と同額となりますが、一定の要件を満たした配偶者がいる場合は加給年金が併せて支給されます。

さらに1級の場合は、2級の年金額の1.25倍に加給年金を加えた額が支給されます。

国民年金の障害年金について

続いて国民年金ですが、国民年金における障害年金は障害基礎年金といいます。障害基礎年金の制度内容は、おおむね障害厚生年金と同じです。ただ大きく違う点は、たとえば先天性の障害など制度加入前に障害の状態にあった者に対しても支給される場合があるということです。

20歳前に生じたケガや病気等で障害の状態になった時は、20歳に到達した時点で支給の対象となります。また、この場合は保険料の納付要件を問われることがありません。さらに、年金額の計算についても相違点があります。

障害厚生年金の場合は障害の程度に応じて1~3級の年金が支給されますが、障害基礎年金の場合は1級及び2級のみです。支給額は定額となっており、2級はその時点での国民年金の老齢年金(老齢基礎年金)の満額と同額、1級はその1.25倍となります。

また、配偶者に対する加給年金がない代わり、一定の要件に該当する子供と生計を一つにしている場合は子の数に応じた加算が行われます。

請求して初めて支給される

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最後に、注意しておくべき点が1つあります。それは、厚生年金の障害厚生年金、国民年金の障害基礎年金とも、支給要件に該当したからといって自動的にもらえるわけではないということです。いずれも該当者からの請求があって初めて支給されます。

請求先は、厚生年金の場合は年金事務所、国民年金の場合は市区町村の窓口または年金事務所となります。請求に際しては請求書の他に医師の診断書、年金手帳、戸籍謄本などいろいろな書類が必要となるので、事前に問い合わせて確認しておくようにします。